収録準備はまるで文化祭前日!

  • アシスタントディレクター 今戸

2018年新卒で制作会社に就職してADを2年勤めた後、
YouTuberなど個人の顧客に向けた映像編集会社に転職し1年間勤務。
そして一昨年10月にワイゼンラージ株式会社へ入社し、
テレビ朝日「しくじり先生〜俺みたいになるな!!〜」に配属されADに復帰。
昨年8月から現在までテレビ朝日「くりぃむナンタラ」でADをやっています
今戸(いまど)と申します。

制作会社への就職を考えている皆様に向け、少しでも役立つ情報を伝えられたらと思います。

他社員のブログを見ると「人気のロケ弁当」「楽しいADの仲間達」など
業界の明るい部分ばかりが書かれているようなので
僕はこれまでのAD生活のなかで特に辛かった瞬間について書こうと思います。

タイトルに釣られた皆さん、現実を突きつけさせてもらいます。

決して業界のマイナスプロモーションをしたいわけではなく、
自分が就活生の時に業界の人から聞きたかった話でもあるので、
これをいい機会に書いてみようと思います。

※ちなみに僕は就活生時から「毎日が文化祭の前日みたい!」なんていうお決まりワードを
全く信用していなかったし、現在もその思いは変わっていません。
もちろん考え方は個人の自由なのでそのように表現する人の事を否定する気もないです。

一人くらいこんなことを書くやつがいてもいいですよね。

『急な企画変更によって行き場がなくなったリサーチ資料』

ADの主な仕事の一つに「リサーチ」というものがあります。
企画が立ち上がり、場所の仕込みやタレントのキャスティングを進めていく上で、
非常に重要な業務です。
例えば運動系のバラエティ企画をやることになった場合、
まずADは「収録予定日に撮影可能な運動場の情報を集める」という作業に取掛かります。
撮影協力をしてくれて、かつ都内近郊で、かつレンタル料が予算内で、かつ@㎡以上で、、、、
というように様々な条件に該当する場所を
ネットや雑誌、時には足を使って片っ端からリサーチします。
そもそも撮影場所がなければ収録は成立しないので、
このリサーチ作業は番組を作る上で非常に重要なのですが、
もちろん時間や労力を伴う作業になるため肉体的にも精神的にもキツい作業です。
しかし、そんな非常に重要で非常にキツい作業を数十時間もかけて熱心に取り組み、
資料にまとめ、会議で演出・プロデューサー・ディレクター達と相談した結果、
さまざまな理由で突然企画自体が無しになってしまうことが往々にしてあります。
これがまさにメンタルがやられる瞬間の一つです。

「あれだけ時間をかけて調べたのに…」

〆切までに資料にまとめるために夜通し作業をしたのにも関わらず、
会議で企画中止が決まったことで「@月@日に撮影可能な都内運動場一覧」というデータが
自分のデスクトップにポツンと残り、
何とも言えない気持ちになり、頭の中で「言葉にできない/小田和正」が流れます。

しかし「進行中の企画をやめる」という決断も番組自体をより良くするためのものであり、
もちろんADへ嫌がらせしているワケでは決してありませんから、
自分でどうにか頭を切り替えて次の業務に臨むしかありません。

『友人からの誘いを断り、独りどんぐりを拾う夜』

収録で使用する小道具を準備するのもADの大事な仕事です。

これは前々から約束していた地元の友達との飲み会の開始数時間前に起こった出来事です。
ある番組の一企画の中で大量のどんぐりが必要なネタが決まり、
ディレクターから「明日の昼までに袋いっぱいのどんぐりを集めて欲しい」という指示を受けました。
当然その辺のスーパーやコンビニに売っているものではなく、
専門業者に頼もうにも「明日昼までに配達するのは無理」と言われてしまいました。
もうその段階で僕は地元の友達に「ごめん、どんぐり集めないといけないから」と言い欠席する旨を伝えました。
夜8時、時間があまり残されていない状況で僕は
「近くの公園に落ちているどんぐりを拾う」というなんとも原始的な方法で対処することに決めました。
その日は六本木で作業をしていたので、すぐに港区中の公園をリストアップし、
クヌギやシイノキが生えている場所を特定。
ダッシュで現場に向かい、暗くなった公園の中で見事どんぐりを発見することができました。
それから僕は、独り黙々と公園に落ちているどんぐり拾い続け、
袋の半分くらいまでどんぐりが集まったところで、
後ろから突然「すみませーん」と声をかけられました。
何かと思い振り返ってみると、
暗闇の中でライト片手にこちらをじっと見つめるお巡りさんがいました。
「何やってるんですか?」と聞かれた僕は急な出来事に
「あっ……あの…どんぐりを…あつっ…集めてまして…」と答え、
言うまでもなく免許証の提示を求められ、
「あまり遅くならないように」と軽く注意を受けたところでお巡りさんは去って行きました。

深夜12時、なんとか袋いっぱいのどんぐりを集め終え、立ち上がって伸びをした後、
何の気なしに開いたinstagramには友人達が楽しく飲んでいる写真が流れてきました。

「………。」

この業界ではプライベートの時間を削って作業しなければならなかったり、
職務質問をされながらも企画成立のために奔走しないといけないなんてことがあります。

『最後に』

他にも辛いと感じる瞬間は正直たくさんあります。
ただ3年も続けていると、自分のアイデアが番組内の演出に反映されたり、
自分の提案が通って個人的にファンの芸能人が番組にゲストで来ることになったり、
そんなこともごく稀にあります。でもそんな些細なことがめちゃくちゃ嬉しいんです。
思わず叫びたくなるほど心奮えるし「また明日も頑張ろう」と本当に思えます。

最近でも、
僕が全体会議中に緊張しながら決死の覚悟で発した「@@さん(昔からファンの芸人)、
今回のゲストにどうですかね?」という発言に対し演出・作家陣から「なるほど!面白い!」
と言ってもらい、キャスティング候補の1つに挙げてもらったりしました。
その後も会議が進む中、僕は一人で勝手に胸が熱くなって感動し、
心から「この業界に入ってよかった」と感じていました。

もしこの業界にいなかったら、
都内のほとんど全ての運動場を調べて資料を作ったり、
深夜に職務質問を受けながらどんぐりを集めるなんていう特殊な経験は、
なかなかできなかったと思います。
恐らく僕にとってはこの特殊な経験こそが「やりがい」ってやつなんだと思います。

一丁前につらつらと書かせてもらいましたが、絶対的にこの業界は面白いです。
必ずしも「楽しい」わけではないかもしれませんが「面白い」ことは確かです。
世間の業界イメージはまだネガティブな意見が多いのかもしれませんが、
僕はこの業界をオススメしたいです。

長文失礼いたしました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。

業界に入るか迷っている就活生の皆さんへ、ぜひ一緒に仕事しましょう。

人気の芸能人にも会えますよ。

★くりぃむナンタラ★
日曜よる10時台に新たな笑いを届けるべく2021年秋に復活を遂げた
くりぃむしちゅーの純度100%バラエティー!
18年前に始まった“くりぃむシリーズ”が2022年春さらなるパワーアップ!
今までの30分放送から60分に枠拡大!
「こういうのがやりたくて芸人になった」(上田)
「引退するまでやり続けたい!」(有田)
毎週日曜よる9時55分〜10時55分!

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