映像業界で生きていくということ。

こんにちは。ドラマ映画部の石川です。
満開だった桜も散り始め、出会いと別れが入り交じるこの季節ですが、最近は別ればかりに目がいってしまいがちです。歳のせいでしょうか。昨日も偉大な作曲家の訃報を聞き、悲しみに暮れていました。
そんな中、新入社員の晴れやかな入社式があったということで、ここはひとつ、くよくよせずにエールを贈りたいと思います。

僕がこの業界に入ったのは2015年。早くも8年目を迎えていることに自分でも驚きです。気持ち的にはまだまだ駆け出しの気分ですが、世間からしたら一端の中堅選手として扱われる立場になってしまいました。
思い返してみると、意外と業界をやめようと思ったことはこれまでほとんどないかもしれません(こんな仕事やってられるか!と思ったことは多々あります)。
3年以内の離職率が50%とも言われたこの業種をやめずに続けてこれたのはどうしてか? ラッキー(いい会社、いい仕事環境のめぐり合わせ)だったからか、僕が人よりもストレスに鈍感だったからか、ひとえにはわかりません。

ただ、夜中にハイエースいっぱいのゴミを捨てている時、真夏の交差点で弁当発注をしながら車止めをして怒鳴られている時、資料作りに追われて終電を逃し家まで歩いた帰り道、ふと思い出す詩がありました。

人類は小さな球の上で
眠り起きそして働き
ときどき火星に仲間を欲しがったりする

火星人は小さな球の上で
何をしてるか 僕は知らない
(或いは ネリリし キルルし ハララしているか)
しかしときどき地球に仲間を欲しがったりする
それはまったくたしかなことだ

万有引力とは
ひき合う孤独の力である

宇宙はひずんでいる
それ故みんなはもとめ合う

宇宙はどんどん膨らんでゆく
それ故みんなは不安である

二十億光年の孤独に
僕は思わずくしゃみをした

谷川俊太郎さんのとても有名な詩ですが、つらい時や、うまくいかずに迷っている時、ふとした瞬間に思い出します。そして不思議と、少しだけ前向きな気持ちになれる。一見現実逃避のようにも思えますが、一度立ち止まって我に返ることで、自分をいるべき位置に立ち戻らせてくれるような、そんな気がします。

これが仕事を続けてこれた理由かはわかりませんが、しんどい時、投げ出したい時こそ、自分の現在地と進むべき道を照らし合わせることが大切なのではないかと思います。

それともうひとつ、これは大学の先輩からの言葉ですが、5年後に自分がどうなっているかを常に意識して行動すること。当たり前ですが、目標を持たないとただただ目の前のことに追われてしまいます。5年後でも3年後でもいいので、目指すべき自分の姿を意識し続ける。そうして忙しい毎日の中でも少しずつ目標に向けて行動していくことが重要だと思います。

なんだか安っぽい自己啓発本みたいな文章になってしまいましたが、新入社員へのエールと言いつつ、自分に言い聞かせている面もあったので良しとします。本当は初めてプロデューサーを務めた6月に公開になる映画の話をしたかったのですが、それはまた別の機会ということで。

最後に、最近ドハマリした漫画から、実力主義・結果至上主義の世の中を生きていく中で大事なことを見失いそうになる僕らを導いてくれる一節を紹介して終わりたいと思います。

わたしは「結果」だけを求めてはいない。
「結果」だけを求めていると、人は近道をしたがるものだ…………近道した時、真実を見失うかもしれない
やる気も次第に失せていく。
大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている。
向かおうとする意志さえあれば、いつかはたどり着くだろう? 向かっているわけだからな……………違うかい?

『ジョジョの奇妙な冒険 第5部』より

ありがとうございました。

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